Skip to content
公開日:2019/07/01  最終更新日:2019/07/12

売り手がM&Aをする理由は経営不振以外にある?

近年M&Aの件数が増加傾向にあると言われています。M&Aの目的として一般的には買い手側の事業拡大、売り手側は経営不振の改善とされていますが、それ以外にもさまざまな目的があります。

今回は売り手側の目的を考えてみましょう。

 

事業承継を目的としたM&Aがとても増えてきている

近年多くの企業が抱えている悩みの一つに「後継者問題」があります。大企業であれば経営も安定しているということもあって、事業を継承してくれるような人が誰かしら出てくるのですが、中小企業の場合はなかなかそうもいきません。

事業承継は親子や親族間で行われることが多いのですが特に近年は親の会社を引き継ぐという子供が少ないですし、子供の数がそもそも少ないということもあって子供が後継者となるケースはとても少なくなっています。

また自分の会社で勤務している人に事業を承継するという方法もあるのですが、トラブルなく事業承継するためには事業を引き継ぐ社員に会社の株をたくさん保有してもらわなければいけません。当然それには多額の資金が必要ですが、そんなお金を保有している人は当然少なく、この事業承継方法Bは現実的ではないというのが実情です。

結果的になかなか後継者が見つからないという中小企業が多いのが現状なのです。実際にある期間が調査したところによると現在すでに定年を迎えて引退を考えている経営者のうち、およそ半数がいまだに後継者が見つかっていません。

この半数の経営者が後継者が見つからないままに全員廃業という選択をしてしまうと、その企業で培われてきた大事な技術を失うことになるだけではなく、日本経済にとっても大きな痛手です。

一説には現在後継ぎがいない中小企業が全て廃業した場合、20兆円以上の損失になるとされています。こういった事業承継問題を解決する方法の1つがM&Aです。M&Aによって自分の会社を買収してもらうことによって結果的に第三者に自分の会社を引き継いでもらうことができます。

会社を引き継いでもらうことによってこれまで身につけてきたその会社独自の技術などは失われることなく存続させることができますし、なにより自分の会社で働いてくれていた社員を失業させることなく勤務させ続けることができるというのは経営者側にとっては大きなメリットといえるでしょう。

 

まとまったお金を手に入れるため

売り手側がM&Aを実行する理由の1つにまとまった資金を手に入れるためというのもあります。会社の経営者がここまで育ててきた会社ですから会社の処分をどうするかは経営者自身が最終的に判断することです。

先ほどは会社を存続させるために事業承継という目的でのM&Aについて解説してきましたが、経営者の中には故自分の会社を引き継がせてまで存続させる考えを持っていない経営者ももちろん存在しています。

もしその会社が市場価値がとても高い企業であればうまく交渉することによってその企業が数年かけて計上する利益をまとめて獲得することも夢ではありません。会社は経営者のものですから、その会社を売却して手に入れたお金をどうするかももちろん経営者の自由です。

何らかのアイデアを形にしたいと考えている経営者は手に入れた資金を使って新しく事業を起こし、第二の人生を歩んでいくことができます。そしてもちろん事業を一切起こさずに手に入れたお金を使って豊かな老後を謳歌することもできるでしょう。

もちろん借金や家のローンがまだ残っているという人は会社を売却することによって得た資金を借金の返済に充てることもできます。会社を売却することによって自由に使えるお金を一気に得ることができるというのは売り手側にとっては大きなメリットといえるでしょう。

 

会社の地力をつけて生存競争に勝ち残るため

自分の会社の競争力を強めるという目的でM&Aを利用する企業もあります。近年の日本は人口の減少によって顧客の奪い合いが激化しています。

また国内だけではなく海外から参入する企業や国内から海外へ進出する企業など経済のグローバル化が急速に進んでいるなど、全体的に競争が激化していることは間違いありません。こうした激しい競争の中で生き残るため人はやはり地力が必要になります。

ところが中小企業はいくらほかの会社にはない優れた技術を有していても知名度やブランド力といった点では大企業よりも見劣りするため、生き残ることがかなり難しくなってきています。

そのため自分の会社を大企業に買い取ってもらい、企業の存続を図ろうとしている中小企業が増えてきているのです。大企業に買い取ってもらうことによって自分の会社にも大企業の豊富な資金を充ててもらうことができます。

資金が確保できれば設備の刷新や新しいアイデアを現実化するなどさまざまなチャレンジができるようになるといったメリットがあります。

 

これまで解説してきたようにM&Aは中小企業で大きな問題となっている後継者問題を解決できたり、その後の人生を楽しむための資金をまとめて手に入れることができたり、大企業のブランド力を利用して競争力を高めることができるなど売り手側にとってもさまざまなメリットがあります。

実行する前にはどういった目的で行うのかをよく考えるようにすると迷いなく相手側の会社と交渉できるようになり、メリットがたくさん得られるM&Aとなるでしょう。