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公開日:2019/01/01  最終更新日:2019/03/08

仲介業者の比較前に知りたいM&Aの「企業提携」とは?

M&Aには企業合併・企業買収などさまざまな手法がありますが、企業提携もその1つです。

「提携」という言葉は、たとえばある銀行のキャッシュカードが提携している別の銀行でも使えるといった具合に日常生活でもよく聞かれる言葉ですが、他にもいろいろなパターンがあります。

また、他のM&Aの手法とは違った独自のメリットも存在します。

 

企業提携には2つのやり方がある

 

M&Aの手法の1つである企業提携とは、複数の企業が特定の分野や事業において相互協力を行い、ビジネスの成長を目指すことをいいます。

経営への参加権を得たうえで提携するタイプとそうでないタイプの2種類があり、このうち前者は特に資本提携と呼ばれています。

資本提携は、企業同士が互いの株式を持ち合い、協力関係を強化すると言う企業提携の手法です。

どちらかの企業が他の企業の株式を一方的に取得するという形式での提携もあります。資本提携は株式の取得を伴うことから企業買収によく似ていますが、取得割合が経営権を完全に支配するほど大規模なものではないという点に特徴があります。具体的な出資比率はケースバイケースですが、ごく一般的な資本提携の場合はおおよそ10パーセント程度が標準です。

一方、経営への参加権を得ないタイプの企業経営は、業務提携と呼ばれています。

これは資本の移動を伴わずに企業が提携し、共同で事業を行うことをいいます。同業者が協力し合うケース、異業種の企業同士がそれぞれの得意分野を生かしつつ互いに付加価値を高め合うケース、製造業と販売業というような垂直的に協業するケースなど、いろいろなパターンがあります。

この二者に加えて、両者の複合的な形態である資本業務提携というタイプです。これは、業務提携関係にある企業が相手先を引受人とする増資を行うなどして経営権の一部を与え、資本提携関係をも結ぶことをいいます。

 

互いの強みを生かして相乗効果を目指す

 

では、具体的な提携の態様はどのようなものであるかと言うと、これにはいくつかの種類があります。

1つめは、技術提携と呼ばれるものです。これは文字通り企業が持つさまざまな技術を提供し合うことによって、生産力や販売力などを強化することをいいます。具体的には、既製品の製造技術は持っているものの新製品の開発技術を持たない企業が、他社の持つ開発技術を利用して新製品を生み出すなどの例が挙げられます。また、両者が共同で研究開発部門を立ち上げ、新技術の創出を目指すというパターンもあります。さらに、自社の持つ技術と他社の持つ技術を複合して、ハイブリッドな製品やサービスを作り出すといったかたちで提携が行われたりもします。

2つめの形態は、生産提携と呼ばれています。これは、生産体制の増強を目指すための提携です。自社が生産する製品の売れ行きが好調だが新たに工場を建てるだけの時間的余裕がないため、他社の持つ設備を利用して委託生産を行うなどの例がこれに当たります。

3つめは、販売提携と呼ばれるスタイルです。これは主として販売・営業の分野における協力で、異業種同士が提携する際によく見られるパターンです。1つの企業が自社製品を卸売業者や小売店に売り込む際、同時に他社の製品についてもプロモーションを行うといったスタイルが一般的です。特定の地域における販売を強化したい、いままでアプローチしていなかった潜在的取引先の情報を入手したい、などの目的で提携先の営業網を利用する場合に用いられる手法です。

 

手続きが簡単で動きやすいのが特徴

 

M&Aとしての企業提携には、さまざまなメリットがあります。最も特徴的なのは、ビジネスを成長させるのに必要な時間やコストを節約できる点です。たとえば新しい技術を1から独力で開発するとなると大変な手間がかかり、しかも必ず成功するとは限りません。しかし、欲しい技術をすでに持っている他社と協力することができれば、開発失敗等のリスクを負うことなく必要な技術を利用することが可能になります。

また、生産ラインの増強に伴う設備投資や、営業強化のための人材育成などに伴う費用の負担も軽減されます。

もちろん、こうしたメリットはM&A全般に言えることです。

ただ、他のM&Aの手法と比較した場合、企業提携は特にその手軽さが目立ちます。資本の移動を伴わない業務提携であればそれぞれの企業の独立性は保たれるので、企業買収などと比較すると経営陣の説得にさほど時間を要さずに済みますし、新株の発行や株主名簿の書き換えといった手間も必要ありません。

資本提携の場合であっても、たとえば合弁企業を新規に設立する場合と比較すると手続きはずっと簡単です。また、仮にM&Aによる効果が期待したほど上がらなかった場合でも、企業提携は比較的簡単に協力関係を解消できるという特徴があります。

これが買収や合併などであれば、分割や清算手続きのために多くのエネルギーを費やすこととなります。つまり企業提携には、フットワークの軽さというメリットを有するM&Aであると言うことができます。