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公開日:2019/07/15  最終更新日:2019/07/12

M&Aの売り手側と買い手側どちらかがデメリットになることはある?

実は今日本の中小企業には後を継ぐ人がいません。というのも帝国データバンクが2017年に発表した後継者問題に関する企業の実態調査によると国内企業の3分の2にあたる66.5%が後継者不在とのデータが出ました。

後継者の候補がいたとしても、決定までには相当な時間を要するという調査も出ています。

 

M&Aにおける売り手の状況とは

後継者が不在の企業にとって親族内承継以外の選択肢は廃業する、従業員承継「M&A」での売却です。そのなかで廃業の選択肢はないことはないですが会社がなくなりますのでオーナーにとってはできれば避けたいです。

次に従業員承継は実現すれば企業風土を守って会社を存続させることができますが、候補従業員に会社を買えるだけの資金を用意してもらえるのは容易ではありません。実際オーナーはともかく一従業員に銀行が融資してくれるかというとその可能性は低いです。そのため会社を存続させるための選択肢としてM&Aでの売却を考える方が増えてきています。

また、後継者がいないという消極的な理由ではなく、会社をより大きくするためにM&Aで大手の傘下に入ることを選択する方もいます。今まではある程度事業で成功した企業の将来についてオーナーが株式公開で第三者に委ねることがありましたが、現在では新規公開を考えていた方がいろいろ検討していくうちにM&Aでの会社売却に舵を切る例も珍しくありません。

結果的にM&Aであっても、それ以外のものであっても会社を良い形で精算できればオーナーにとって個人保証からも解放されるので良いです。

 

M&Aにおける買い手の状況とは

会社の事業がある程度軌道に乗る、もしくは、長年事業をやっていて安定的に仕事が見込めるようになった、そういう会社にとって次に考えることがM&Aでの他社の買収です。事業が軌道に乗りはじめるとより大きく事業の拡大を考えます。そのときに同業他社を買収すれば手っ取り早く規模を拡大できます。そして規模が大きくなればまた別の同業他社の買収等検討できます。

一方、昔から何十年も1つの事業を継続できている企業は、安定的な売上が見込めるので、リスクを取って事業を拡大しなくてもよいです。

しかし、今の事業これから先も安定的に続く保証はありません。そのため、安定的な売上があって体力がある今こそ次の展開として、新規事業の創出を考えます。新規事業にあたっては自前で一から創ることも選択肢の一つですが、すでにある会社を買収して管理するのが早い方法ではあります。

それに加えて現在大企業でもそうですが特に中小企業では人手不足が深刻な問題となっています。そのため人材を確保するという意味で同業他社を買収する動きも広がっています。

 

M&Aでは買い手・売り手どちらが有利か

M&Aでは買い手、売り手それぞれの立場が複雑に絡むものです。そのためデメリットというわけではないですが、状況に応じてこちらの方の立場が有利ということもあります。

たとえば、現在業界再編が進んでいる調剤薬局業界は売り手にとって有利と言えます。というのもこの業界は再編が大きく進んでおり、大きな会社とその他という風にどんどん分かれていっています。買い手からするとこの機会に小規模な薬局を積極的に買収し勢力を拡大したい思惑があるので、売り手にとっては売却交渉がしやすいと言えます。

また、ニッチな業務をしている会社も売り手優位と言えます。理由は、その会社でしかできない事業であったり、特殊な取引先を持っていたりするからです。一方で、買い手優位なのはたとえば債務が大きい会社や赤字の会社。

そういったところはそもそも売れるだけでありがたいと考えるオーナーも少なくありません。以上からみたように買い手・売り手双方にそれぞれとって有利になる案件もあれば交渉しづらい案件もあります。あとはM&Aの業者やその他の関係者を巻き込んで少しでも有利な条件で交渉できるようにすることです。

 

M&Aはいわばお見合いのようなもので一度会っただけで双方の当事者が意気投合する場合もあれば、何度も面談を重ねてようやくわかり合える場合もあります。M&Aは契約成立がゴールではなく、あくまでもスタートです。

仮にただ会社という箱を買うのではなく、M&Aの契約で従業員の雇用も維持するとしていた場合、自社の運営以上に気を付けて管理しなければなりません。せっかく苦労して会社を購入してもその後の管理の不備で業績が悪化すれば元も子もありません。

そうならないためには契約成立してからが本当のM&Aの始まりです。そうしてM&Aによってさまざまな会社の新陳代謝が進むことによって日本経済が活性化していきます。

アメリカと日本の時価総額ランキングを比較すると、アメリカが昔と今とでは顔ぶれが大きく代わっているのに対し日本はあまり代わっていません。そういう意味でもM&Aもまた活性化の一つの手段です。